H.SELMER　Balanced Action　Tenor Sax　Silver Plated　Serial No：32XXX　【Vintage】

H.SELMER（フランス・セルマー）
バランスド・アクション　テナーサックス　銀メッキ仕上げ　シリアルNo：32XXX　【ヴィンテージ】

フラセル バランスアクションのヴィンテージテナーサックスです。シリアルから1946年〜1947年頃のB.A.と思われます。年代としては後継機種となるS.B.A.の時期と重なっていますが一番管と二番管のU字管リングにネジ止めは無く、キー配列もインラインということもあり全体的な特徴からS.B.A.ではなくBalanced Actionとなります。

珍しい銀メッキ仕上げで使用による擦り傷やメッキの剥がれなども多少ありますが十分にメッキが残っています。ネックのプルダウンは見受けられませんが修理歴としてはある程度の範囲に修理の形跡が見受けられます。ベルフレアは三分の二ほどの範囲でベル折れ修理の形跡がありますが写真では見えにくいほどに綺麗にしっかりと修理されています。その他、U字管や二番管などを含めある程度の範囲でヘコミ修理跡がありますがいずれもしっかりと修理されていますので問題なく演奏できる状態に仕上がっています。

サムレストとG#キーには少しざらつきのある素材で加工がされていますがフィット感も良く、サムレストの突起が緩やかになっていますのでサックスを持った時に左手親指が痛くなりづらいのは利点です。タンポの状態は比較的良好ですので当面の間は交換の必要なないと思います。パッドを上から下までパタパタパタと閉じた時にボォウン！っと余韻のあるいい音が響き、音を出す前からニヤリとしてしまいます。

個体としてはある程度吹き込まれていることで音抜けも良く、とてもスムーズに鳴ってくれます。音に落ち着きがあり非常に柔らかさのある音色でありながらも銀メッキ仕上げということもあり音に厚みもあります。ラッカー仕上げが音に軽やかさとふくよかさがあるのに対してこの仕様では音に厚みを持って芯のあるヴィンテージサウンドが楽しめます。かといって音に重厚感があり過ぎるということではなく、程よい吹きごたえを持ちつつも基本的に柔らかで広がりのある深みを持ったヴィンテージサウンドが豊かに響き渡ります。

個体差もありますので一概には言えませんが同じ銀メッキ仕様のS.B.A.と比べてみるとこちらのB.A.の方がよりファットで音に柔らかさがあり甲乙つけがたい音色だと感じました。ある程度広い範囲で修理された個体ではありますが音色は実に素晴らしいものがあり、弊社会長も納得のヴィンテージサウンドを持ったサックスです。S.B.A.のテナーも非常に入手が困難な昨今ですがB.A.のテナーも同じく極めて入手が難しいビンテージサックスですのでお探しの方やご興味のある方は是非この機会にご検討いただければと思います。古き良き時代を感じることができる深みのある極上のヴィンテージサウンドがご体感いただけます。弊社会長もお薦めの逸品です。


■オリジナルシルバープレート
■High F#キーなし
■タンポ反射板：プラスチックブースター
■全体調整済み
■付属品：BAM　トレッキングスタイル　Saint-Germain　テナーサックス用セミハードケース　【USED】

【SELMER Balanced Action(通称B.A)について】
テナーサックスではベン・ウェブスター氏やコールマン・ホーキンス氏などが愛用していたことで有名。1935年頃に発表されてから1948年頃まで生産され次機種であるS.B.A.よりも長く製造されたモデルです。1930年代以前のサックスのほとんどがベルキーが左側にあったのに対してこのモデルからLowB、B♭が現代のサックスと同じように右側に配置され
るようになりました。テーブルキーのシステムを含め当時としては革新的なデザインだったB.A.は現代のサックスの設計にも多大な影響を与えており歴史的にも非常に重要なモデルと言えます。いわゆるアメセルと呼ばれるものは一部の例外を除きS.B.A.からとされておりB.A.は基本的にはフラセルとなります。また、S.B.A.のキー配列がオフセットキーであるのに対してB.A.はインラインとなっており、S.B.A.には一番管と二番管を接続するU字管リングに２点のネジがありますがB.A.にはその構造が無いのも特徴です。S.B.A.よりもさらに柔らかくふくよかさのあるセルマーのヴィンテージサウンドが魅力のモデルです。また、ベル彫刻も繊細で豪華なものが多くサンバーストやヨットのシーンを描いたものなどを含め様々なパターンがあり、当時の職人達の優れた技術によって丁寧に仕上げられた彫刻は大変美しく味わい深いものがあります。